確率・統計の勉強 #10 1変数の条件付き期待値(統計検定1級問題をのぞいてみる2)
藤田 岳彦「弱点克服大学生の確率・統計」:
前回↓
応用数学に頻出する条件付き期待値について,1変数の確率分布について考える。
問題に出てくる二項分布,正規分布の基本事項については以下記事を参照。
問題
2018年度統計検定1級 統計数理問3 より
1. 確率変数が二項分布にしたがうとき,次の値を求めよ。
(1) 条件付き確率
(2) 条件付き期待値
2. 確率変数が標準正規分布にしたがうとき,条件付き期待値を求めよ。
解法
条件付き確率 1.(1)
定義:
事象A,Bについて,BにおけるAの条件付き確率は
1. (1)
ここで,
よって,
具体例:において,
0 | 1 | 2 | 3 | |
---|---|---|---|---|
組み合わせの個数 | ||||
ある1つの組み合わせについて,k回成功してn-k回失敗する確率 | ||||
k回成功する確率 |
表の値を用いて,
あるいは(1)の結果を用いて,()
を計算して同様の値を得る。
条件付き期待値 1.(2), 2.
定義(離散確率変数):
Xを離散確率変数,Aを事象とするとき,AのもとでのXの条件付き期待値は
1. (2)
定義に沿って解けばよい。
Xの確率分布を
として,
具体例:において,
(2)の結果より(),
連続確率変数の場合も同様に考える。
定義(連続確率変数):
Xを連続確率変数,を事象とするとき,AのもとでのXの条件付き期待値は
ここで条件付き密度関数は
2.
よって,
近似値:
より,
ここで,条件付き期待値の性質をまとめておく。
<1>
<2>
<3> X, Yが独立なら,
<4>
ここでは<1>のみ証明する。
<1>証明:
条件付き分散
条件付き分散についても簡単に触れておく。
定義:
また,次の公式が成り立つ。
証明:
<1>より,
次回↓