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「西洋美術の歴史」要約メモ #13 第6巻 第2章 フランスのバロックと古典主義,第4章 フランスのロココ美術,終章 イギリスとスペイン

 

西洋美術の歴史6 17~18世紀 - バロックからロココへ、華麗なる展開

西洋美術の歴史6 17~18世紀 - バロックからロココへ、華麗なる展開

 

 

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第2章 フランスのバロックと古典主義

1598年,アンリ4世が発したナントの勅令により宗教戦争終結した。アンリ4世時代に活躍した画家たちは「第2次フォンテーヌブロー派」と呼ばれ,アンブロワーズ・デュボアやトゥッサン・デュブルイユなどが挙げられる。

 

ルイ13世は1610年8歳のとき即位し,母后マリー・ド・メディシスが摂政として実権を握ることとなった。マリーはフランス・プルビュスやペーテル・パウルルーベンスなどに宮殿装飾を依頼しており,この時代のパリ美術に大きな影響を与えた。後にリシュリューが宰相となりマリーは失脚することとなった。

 

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ラ・トゥール (左)「いかさま師」 (右)「大工の聖ヨセフ」

ロレーヌ地方は一時期フランスから独立して,公国として経済的に繁栄していた地方である。

代表作

  • ジャック・ベランジュ「マギの礼拝」
  • ジャック・カロ「聖アントニウスの誘惑」
  • ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「いかさま師」「大工の聖ヨセフ」

 

宰相リシュリューは芸術の政治的効用を理解しており,熱心な文化政策を行った。例として,ソルボンヌ付属礼拝堂は,枢機卿としてのリシュリューの権力を表明したものとされる。

代表作

  • シモン・ヴーエ「敗北した「時」」「キリストの神殿奉献」
  • フィリップ・ド・シャンパーニュリシュリューの肖像」「男の肖像」
  • ル・ナン兄弟「農民の家族」

 

ニコラ・プッサンはフランス古典主義を代表する画家の一人で,ローマを中心に活動した。代表作「マナの収集」は真実らしさや理想美の追求,適切さが全面に出ており,後にアカデミーの優れた模範作品として評価された。ほかに古典主義の形式を完成させた画家として,クロード・ロラン(「シバの女王の船出のある風景」など)が挙げられる。

 

ルイ14世は1643年4歳8ヶ月で即位し,母后アンヌ・ドーリッシュが摂政となった。摂政会議の座長にはマザラン枢機卿が抜擢され,彼が実権を握ることとなった。マザランリシュリューと同様,芸術を積極的に取り入れながら王権強化を継続していった。

この時期,プッサンの影響による「アティシスム」という様式が興隆した。

アティシスムの例

  • セバスチアン・ブルドン「川から救われるモーセ
  • ウスタッシュ・ル・シュウール「クレイオ,エウテルペ,タレイア」
  • ロラン・ド・ラ・イール「文法の寓意」

 

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ル・ブラン (左)「ルイ14世の肖像」(右)「ルイ14世とコルベール」

1659年のピレネー条約によりスペインとの戦争が終わり,マザランが没した後,ルイ14世の親政が始まった。この時期,ルーヴル宮やヴェルサイユ宮の増改築が盛んに行われた。ル・ブラン「アルベラの戦い」では偉大な君主の模範であるアレクサンドロス大王が書かれており,ルイ14世のイメージとして重ね合わせられる。

 

1648年に設立された王立絵画彫刻アカデミーでは,ルイ14世の親政開始を機にコルベールによる大規模な改革が行われた。

1670年代には色彩論争が勃発した。

素描派:フィリップ・ド・シャンパーニュ,ル・ブランなど

色彩派:ルイ=ガブリエル・ブランシャール,ロジェ・ド・ピールなど

やがてル・ブランが没し,ピエール・ミニャールが人気を博するにつれて,色彩派が優勢になっていった。

 

第4章 フランスのロココ美術

ルイ14世の没後,オルレアン公フィリップの摂政時代に入る。ここでヴェルサイユからパリに宮廷と政治の中心が移された。またジョン・ローによる経済再建が後の貿易拡大やロココ美術発展に大きく影響した。18世紀はルイ15世と続くルイ16世による治世の時代であり,王立絵画彫刻アカデミーによるサロンの開始や鑑賞者層の拡大が起きた。

 

古典主義からロココへの移行期における,ヴェルサイユ宮殿王室礼拝堂の装飾美術

  • 主祭壇上ドーム:ラ・フォス「キリストの復活」
  • 身廊天井:アントワーヌ・コワペル「父なる神の栄光」
  • 階段席天井:ジャン・ジュヴネ「聖霊降誕」
  • 音楽の階段室天井:ボン・ブーローニュ「歌う天使たち」

 

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ヴァトー「シテール島の巡礼」

ジャン=アントワーヌ・ヴァトーは「雅宴画」の創始者として重要な画家である(代表作「シテール島の巡礼」「ジェルサンの看板」)。後の雅宴画の例として,ニコラ・ランクレ「踊るカマリゴ」やフランソワ・ブーシェ「雅な羊飼い」が挙げられる。

 

王立美術アカデミーは1727年と1747年に歴史画のコンクールを開催した。

1727年のコンクールは王室建造物局総監ダンタン公爵により主催された。アカデミー会員の競争心を刺激することを目的に実施したと推測されている。結果としてはフランソワ・ル・モワーヌ「スキピオの自制」とジャン=フランソワ・ド・トロワ「ディアナの水浴」が1位を分けあうこととなった。一方で公衆の支持はシャルル=アントワーヌ・コワペル「ペルセウスアンドロメダ」やノエル=ニコラ・コワペル「エウロペの略奪」に向いていた。

次いで1747年のコンクールはルノルマン・ド・トゥルヌエムにより開催された。公衆の支持を得たのはシャルル=ジョセフ・ナトワール「バッコスの勝利」,フランソワ・ブーシェエウロペの掠奪」,カルル・ヴァン・ロー「シレノスの酩酊」であり,古典主義の再生を目的としたルノルマンの思惑を裏切ることとなった。

 

18世紀の諸分野の代表作

肖像画

  • イアサント・リゴー「ルイ14世の肖像」
  • ニコラ・ド・ラルジリエール「ストラスブールの女」
  • ジャン=マルク・ナチエ「ディアナに扮したアデライード王女」

風俗画,静物

風景画

  • クロード=ジョセフ・ヴェルネ「トロンペット城から見たボルドー港」

彫刻

  • エドム・ブーシャルドン「グルネルの泉」
  • エチエンヌ=モーリス・ファルコネ「ピョートル大帝騎馬像」

 

18世紀後半の美術は,ロココから新古典主義への移行期にあたる。女性画家がはっきりと現れだしたこと,廃墟が時間の経過のモチーフになることなどが注目すべき点である。

代表作

  • ジョセフ=マリー・ヴィアン「アモルを売る女」
  • ジャン=バチスト・グルーズ「村の花嫁」
  • ジャン・オノレ・フラゴナール「ぶらんこ」
  • ユベール・ロベール「ニームのメゾン・カレ」
  • ジャック=ルイ・ダヴィッド「ホラティウス兄弟の誓い」

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フラゴナール「ぶらんこ」

 

終章 イギリスとスペイン

フランスで育まれた独自の美術はヨーロッパ諸国で人気を博し,特にイギリスとスペインに大きな影響を与えた。

イギリス

  • ウィリアム・ホガース「ジョーンズ一家」
  • ジョシュア・レノルズ「モンゴメリー姉妹」
  • トマス・ゲインズバラ「アンドルーズ夫妻」「木陰の散歩道」

スペイン

 

フランス革命が起こり,王立美術アカデミーは1793年に廃止された。これによりアカデミーの会員のみならず,全ての美術家がサロンに参加できるようになった。

 

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