確率・統計の勉強 #8 ガンマ分布からカイ二乗分布へ,統計検定1級問題をのぞいてみる
藤田 岳彦「弱点克服大学生の確率・統計」:
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問題
統計検定1級統計数理(2018年11月)問1[2]より改変
自由度のカイ二乗分布にしたがう確率変数について,とを求めよ。
実際の問題では確率変数の確率密度関数が与えられ,これの期待値と分散をガンマ関数の形に変形して求められる。ガンマ関数については#6で解説した。
本記事では,カイ二乗分布がガンマ分布から構成されるところから説明する。関連して,ベータ分布についても触れておく。
解法
ガンマ分布
基本事項
グラフ
ガンマ分布は連続確率分布の一種であり,部品の寿命や待ち時間などに当てはまる。分布の形はパラメータとにより決定される。正規化にはガンマ関数が用いられている。
ここで正規化項の導出について説明しておく。ガンマ関数への変換が重要である。
ここでガンマ関数の形を作るために変数変換を施すと,
積分をガンマ関数に変換して,
よって,
期待値と分散も同様にして導出できる(各自解いてみてほしい)。
他の確率分布との関係
以下に列挙する。
再生性
で独立のとき,が成り立つ。これをガンマ分布の再生性という。確認するには確率密度関数への代入で十分だが,証明にはモーメント母関数を用いる必要がある(ここでは省略)。
ベータ分布
似たような分布として,ベータ分布も重要である。
グラフ
カイ二乗分布
独立に標準正規分布にしたがう確率変数をとる()。このとき,
のしたがう分布を「自由度のカイ二乗分布」といい,で表す。カイ二乗分布は推計統計学における適合度検定などで用いられる。
グラフ
自由度のカイ二乗分布について,分布はなので,である。さらにガンマ分布の再生性より,である。
問題については,→とすることで解答が得られる。
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