確率・統計の勉強 #1 望遠鏡公式
藤田 岳彦「弱点克服大学生の確率・統計」:
問題05 階差数列・Telescoping より改変
問題
問題:次を具体的に求めよ。
この問題では,高校数学における階差数列の和の考え方を応用する。ここで,階差数列の和の公式は
である。これを分解すると,
となり,「項どうしで打ち消し合う」ことがポイントである。
部分分数分解について
まず本題に入る前に,高校数学における部分分数分解について復習したい。
例題:
部分分数分解の目的は,「項どうしで打ち消し合う」ことにある。あらかじめ分解したとして,その様子を見てみよう。
3行目で「項どうしで打ち消し合う」ことで,シンプルな解が得られた。余分な数が消えてくれるのが何とも爽快である。
では1行目から2行目の変換について見ていく。変換するには,
が成り立つaとbの値を求めれば良い。分母を払うと
となるので,数値代入により
のとき
のとき
よって
これで目的となる式に変換できる。
解法
では本題に入ろう。
先に解答を示しておく。
やることは部分分数分解のときと同じである。もともとあるk(k+1)をもとに,(k+2)をかけたものから(k-1)をかけたものを引くことにより,「項どうしで打ち消し合う」ことができる。
1行目から2行目の変換については
が成り立つaを求めれば良い。
であるから
である。
このような公式は「Telescoping formula(望遠鏡公式,畳み込み級数)」と呼ばれており,階差数列の和の考え方を応用することにより連続した整数の和を求めることができる。
例えば次のような式が成り立つ。
実際に手を動かしてみて,「項どうしで打ち消し合う」感覚を楽しむとよい。
参考資料:
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